「デスクの配線をきれいにしたい!」 そう思い立って、とりあえずAmazonでケーブルボックスや結束バンドを買っていませんか?
はっきり言いますが、それが失敗の原因です。
「頑張ってきれいに縛ったのに、いざ充電しようとしたらケーブルが届かない」 「新しい機材を買ったら、またバンドを切ってやり直し…」
こんな経験があるなら、原因は一つしかありません。 「すべてのケーブルを同じように扱っているから」です。
配線整理に必要なのは、便利な収納グッズではありません。「設計図」です。 今回は、エンジニアの視点で考え抜いた、ケーブルを「3つの種類」に分けて管理するルールをご紹介します。
このルールさえ守れば、あなたのデスクは「ただ見た目がきれいなだけ」ではなく、「使いやすくて散らからないデスク」に必ず生まれ変わります。

1. なぜ、配線整理はすぐにリバウンドするのか?
多くの人が陥る間違い。それは「見えているケーブルを、手当たり次第に隠そうとすること」です。
あなたのデスク裏は、今このような状態になっていませんか?

失敗する理由はシンプルです。 一度設置したら何年も動かさない「モニターの電源」と、毎日持ち歩く「スマホの充電ケーブル」を、一緒くたに縛ってしまっているからです。
これでは、スマホを持って出かけようとするたびに、モニターのケーブルまで引っ張られ、デスク上の配置がズレたり、最悪の場合は断線したりします。そして面倒になり、再びデスク裏はスパゲッティ状態に戻ります。
- 動かないモノ(静)
- 動くモノ(動)
性質の違うこの2つを混ぜてはいけません。 まずは、今あるケーブルをすべてコンセントから抜き、以下の「3つの種類」に分類することから始めましょう。
2. ケーブルの「3つの種類」診断
私の整理術では、デスク上のすべてのケーブルを「動きの頻度」によって、以下の3種類に分類します。 これを理解すれば、配線整理の9割は終わったも同然です。
下の図解を見て、自分のデスクにあるケーブルがどれに当てはまるかイメージしてみてください。

① 固定ケーブル
一度セットしたら、故障や模様替えがない限り、二度と動かさないケーブルたちです。
- これです: モニターの電源、デスクトップPCの配線、スピーカー、Wi-Fiルーターなど。
- 特徴: 「つなぎっぱなし」で、手で触れることがない。
- 正解: 「完全隠蔽(いんぺい)」 これらは目に入る必要がありません。デスクの裏側や脚の裏にガチガチに固定して、存在ごと視界から消してしまいます。
② 着脱ケーブル
基本はデスクにありますが、外出時や充電時だけ手に取って抜き差しするケーブルたちです。
- これです: ノートPCの電源アダプタ、スマホ・タブレットの充電ケーブル。
- 特徴: 「必要なときだけ」引っ張り出し、使い終わったら戻す。
- 正解: 「定位置管理」 隠しすぎてはいけません。いざという時にサッと取り出せるよう、デスクの端などに「待機場所(ドック)」を作ります。
③ 操作ケーブル
デスクの上で、マウスやキーボードを操作するために常に動かしているケーブルたちです。
- これです: 有線マウス、有線キーボード、ヘッドホン。
- 特徴: 自分の手の動きに合わせて、常に「動く」。
- 正解: 「あえて見せる」 これを無理に固定したり隠したりすると、マウスが引っかかって使いにくくなります。きれいな素材のケーブルを選び、インテリアの一部として「美しく見せる」のが正解です。
3. この順番でやれば必ず成功する
3つの分類ができたら、あとはそれぞれの「正解」を実行するだけです。 以下の手順で進めてください。
ステップ1:デスクの「裏側」を作る(固定ケーブル)
まずは土台作りです。 床にダラダラと垂れ下がっている「固定ケーブル」を、デスクの天板裏や脚に沿わせて空中に固定します。 目指すのは、床にケーブルが一本もない状態(ルンバが通れる状態)です。

ステップ2:デスクの「表側」を作る(着脱・操作ケーブル)
次は使い勝手の向上です。 「充電ケーブルが床に落ちて拾う」というストレスをゼロにするためのホルダー活用術や、有線デバイスをおしゃれに見せるテクニックを使います。

4. 今すぐやるべき「ステップ0」
詳細記事を読み進める前に、まずは準備運動をしましょう。 今週末、以下の3つを必ず実行してください。
- すべて抜く: 勇気を持って、デスク周りのコンセントと配線を一度すべて抜いてください。つぎはぎの状態で修正するのは不可能です。一度リセットしましょう。
- 掃除する: ケーブルがなくなると、デスク裏に溜まった大量のホコリが見えるはずです。きれいに拭き取ります。これは機材の故障を防ぐためにも重要です。
- 分類する: 抜いたケーブルを床に並べ、「これは固定」「これは着脱」と3つのグループに分けてください。
ここまでできれば、配線整理のいちばん大変な山場は越えたも同然です。
まとめ:分類ができれば、デスクは必ず整う
「配線整理=隠すこと」ではありません。 「動かないモノは隠し、動くモノは使いやすく配置する」ことこそが、エンジニア的配線整理の極意です。
このルールに沿って整理すれば、見た目が美しいだけでなく、掃除もしやすく、機材の入れ替えも簡単な「最強のデスク」が完成します。
それでは、分類が終わった方から、次のステップ「デスク裏の空中配線」へ進みましょう。
【配線整理シリーズ:全記事一覧】
- 第1回(基本): 失敗の原因は「全部隠す」から。ケーブルを「3つの種類」に分けるロジック※この記事
- 第2回(裏側): デスク裏の配線は「浮かせて隠す」。床に何も置かないテクニック
- 第3回(表側): 「充電ケーブルがない!」のストレスにさよなら。「定位置」の作り方


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