【疲れないデスクの科学】「目が疲れる」「肩が凝る」はモニターの高さが9割。エンジニアが守る「配置の黄金比」

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シリーズ第1回で「最適なモニター」を選び、第2回で「モニターアーム」を導入しました。 これであなたのデスクは、機能的にも見た目的にも完璧に仕上がったはずです。

しかし、もしあなたが、「環境は良くなったはずなのに、夕方になると目が乾く」「やっぱり肩こりや頭痛が消えない」と感じているなら、原因はハードウェアではありません。

「配置(セッティング)」が間違っています。

高級なオフィスチェアを買っても、座面の高さを合わせなければ腰を痛めます。それと同じで、モニターにも「身体を守るための正しい数値」が存在します。 今回は、エンジニア視点で導き出した「疲れない配置の黄金比」を解説します。

1. その肩こり、原因は「見上げている」から

多くの人がやりがちな最大の間違い。 それは、「モニターの位置が高すぎること」です。

PC作業において、「見上げる」という動作はNGです。 顎(あご)が上がり、首の後ろの神経が圧迫され、深刻なストレートネックや頭痛を引き起こします。また、目が大きく開かれるため、ドライアイの原因にもなります。

黄金ルール①:目線は「モニターの上端」に合わせる

これが絶対の基準です。
背筋を伸ばして椅子に深く座り、真っ直ぐ前を見た時の目線の高さが、「モニターの上のフチ(ベゼル)」と同じになるように調整してください。

※ここで重要なポイント
この「背筋を伸ばした正しい姿勢」を維持するためには、身体に合った椅子が不可欠です。
もし、座っていてすぐに腰が辛くなったり、姿勢が崩れてしまうなら、モニターを調整する前に「椅子」を見直す必要があるかもしれません。

▼ 疲れない椅子の選び方はこちら

正しい高さにするとどうなる?

  • 視線: 自然と「やや下向き(伏し目がち)」になります。
  • メリット: 顎が引けて首の負担が減り、まぶたが少し閉じるので目の乾き(ドライアイ)も激減します。

この微調整に役立つのが、前回導入した「モニターアーム」です。
付属のスタンドでは高さ調整に限界がありますが、アームならミリ単位でこの「黄金の高さ」にピタリと合わせることができます。

▼ まだアームを導入していない方はこちら

2. 距離は「ハイタッチ」で決まる

次は「目と画面の距離」です。 近すぎれば近視が進み、遠すぎれば前のめりになって猫背になります。

黄金ルール②:距離は「腕一本分」

難しく考える必要はありません。 椅子に深く座ったまま、モニターに向かって手を伸ばして「前ならえ」をしてください。

  • 指先が画面にギリギリ触れるか触れないか(約60〜70cm)

これがあなたの身体にとっての最適距離です。 思ったより遠いと感じるかもしれませんが、今のモニター(WQHDなど)は高画質なので、この距離でも文字はくっきり見えます。

3. 明るさは「紙」に合わせる

高さと距離が合っても、「光の暴力」を受けていては目は潰れます。 買ったばかりのモニターは、店頭で目立つように輝度(明るさ)がMAXに設定されていることが多いです。 このまま家で使うのは、懐中電灯を直視し続けているのと同じです。

黄金ルール③:白い紙と同じ明るさにする

手元に「白いコピー用紙」を置いてください。 部屋の照明を浴びたその紙の白さと、モニターの白い背景(Wordやブラウザなど)を見比べます。

モニターの方が眩しいなら、明るすぎます。 紙と同じくらいの「落ち着いた明るさ」になるまで、輝度を下げてください。場合によっては「輝度20〜30%」くらいまで下げても十分です。

4. 視界の「ノイズ」を消す

最後に、メンタル面での疲れを防ぐテクニックです。 人間は、視界の端(周辺視野)に「ごちゃごちゃしたモノ」が映っていると、無意識に脳のリソースを消費してしまいます。

モニターの裏や下から、配線が飛び出していませんか? アームの周りに、使わない小物が散乱していませんか?

黄金ルール④:視界には「画面だけ」にする

集中力を最大化するために、視界に入るノイズを徹底的に排除します。 ここで重要になるのが、以前解説した「配線整理」です。

モニター周りのケーブルを「隠す・まとめる」ことで、あなたの目はモニターの情報だけに100%集中できるようになります。


まとめ:コックピットは完成した

全3回にわたる「モニター環境構築シリーズ」、いかがでしたか?

  1. 選ぶ: 作業スタイルに合わせて、最適なモニター(ウルトラワイド等)を手に入れる。
  2. 設置する: モニターアームで浮かせ、デスクを広く美しくする。
  3. 調整する: 高さ・距離・光を調整し、身体への負担をゼロにする。

ここまで実践できたあなたのデスクは、もう単なる事務机ではありません。 エンジニアとしてのパフォーマンスを最大化し、健康を守りながらクリエイティブな作業に没頭できる、あなただけの「コックピット」です。

さあ、整った環境で、最高の仕事を始めましょう!


Next Step:指先の環境も整える

モニターの位置が整い、目や首への負担は減りました。
次は、一日中触れている「キーボード」を見直してみませんか?

ノートPCの薄いキーボードを卒業するだけで、肩こりや手の疲れがさらに劇的に減ります。

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