Web会議におけるコミュニケーションは、マイクによる「発信」だけでなく、スピーカーによる「受信」の質によってその快適さが決まります。
多くの人がイヤホンやヘッドホンを使用していますが、「長時間つけていると耳が痛くなる」「自分の声がこもって話しにくい」といったストレスを抱えていないでしょうか。スマートで開放感のあるデスクを目指すなら、空気を介して自然に音を聞く「外付けスピーカー」の導入が、その解決策となります。
今回は、デスクの有効面積を削らずに、相手の声を驚くほどクリアに捉えるための音響設計術を紹介します。

01. なぜ「外付けスピーカー」が会議をラクにするのか
ノートPCのスピーカーやイヤホンではなく、外付けスピーカーを使うことには明確な3つのメリットがあります。
- 「聞き取りの努力」を減らせる: 外付けスピーカーは、人の声の帯域(中音域)をハッキリと鳴らす能力に長けています。ボソボソとした声も輪郭が鮮明になるため、脳が音を解析する労力が減り、会議後の疲労感が劇的に変わります。
- 自分の声が自然に聞こえる: イヤホンで耳を塞ぐと、自分の声が頭の中で響いて話しにくくなります(遮蔽効果)。スピーカーなら自分の声も周囲の音も自然に聞こえるため、対面に近い感覚でリラックスして会話ができます。
- 耳の健康と清潔を保てる: イヤホンの長時間使用は外耳道炎などのリスクを伴いますが、スピーカーなら耳への物理的な接触がゼロです。夏場の蒸れや冬の圧迫感から解放され、常に快適な状態を維持できます。
02. 初心者が選ぶべき「スピーカーの2大形状」

デスクの広さや使い方に合わせて、以下の2つのタイプから選ぶのが失敗しないコツです。
1. デッドスペースを活かす「サウンドバー型」
モニターの下にある数センチの隙間に収まる、横長のスピーカーです。
- メリット:左右に置く場所がなくても設置でき、デスクの上が非常にスッキリします。
- 向いている人:デスクを極力広く使いたい人、モニターアームを使用している人。
2. 音の広がりを楽しむ「小型ブックシェルフ型」
左右に2つの箱を置いて使う、独立したスピーカーです。
- メリット:音が左右から回り込むように聞こえるため、会議相手が「そこにいるような」臨場感が得られます。
- 向いている人:Web会議だけでなく、作業中に音楽を流して没入感を得たい人。
03. 聞き取りやすさを劇的に変える「配置のルール」

どんなに良いスピーカーを買っても、置き方が悪いと声はぼやけてしまいます。初心者でも今日からできる「3つの改善策」を紹介します。
ルール1:「耳」と「スピーカー」で正三角形を作る
左右のスピーカーと自分の頭が、上から見て「正三角形」を描くように配置します。
- 効果:音が中央でピッタリと重なり、相手の声がモニターの真ん中から聞こえてくるような自然な感覚(定位感)が生まれます。
ルール2:ツイーター(高音が出る部分)を耳に向ける
音の中でも「高音」は真っ直ぐに進む性質があります。
- 対策:小型のスタンドや、角度がついた専用台(インシュレーター)を使い、スピーカーの正面が自分の耳を向くように数度傾けます。これだけで、音量を上げなくても言葉がクッキリと聞こえるようになります。
ルール3:机の振動を抑える
スピーカーから出る振動が机に伝わると、音が濁る原因になります。
- 対策:スピーカーの下に、ゴム製や金属製の小さな粒(インシュレーター)を敷くだけで、音の濁りが消え、クリアな音質に変わります。
04. おわりに:良質な「聞き取り」が思考をスムーズにする
クリアな音で相手の声を聞くことは、情報の理解を助け、会議によるストレスを大幅に削減します。
スマートで開放感のあるデスクとは、「発信(マイク)」と「受信(スピーカー)」の両方の質が整っている状態です。まずは、モニター下の隙間に小さなサウンドバーをひとつ置くことから始めてみてください。相手の声が鮮明になったとき、あなたの仕事の質もまた、確実に向上するはずです。
次は、Web会議環境の最後を締めくくる「カメラ・照明編」にて、相手に与える印象を劇的に変えるビジュアル設計について解説します。



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